状況に合わせた保管 | 多項目水質計EXO機器
センサーストレージソリューション
現場の水質測定機器とセンサーから最も信頼性の高いデータを取得し、長くお使いいただくためには、使用しない期間の適切な保管方法を行うことが重要です。機器を保管する期間(短期または長期)に応じて、具体的に御説明致します。
短期保管とは、4週間未満の非動作期間を言います 。つまり、数分、一晩、あるいは数週間といった短期間の保管であれば、短期保管の手法に従うことになります。現場への往復、サンプリング地点間の移動、校正、修理、センサー交換のために機器をメーカーに発送する際など、センサーを短期的に保管する場合があるかもしれません。
長期保管とは、非動作期間が4週間を超える期間を言います。例えば、調査や観測の合間や冬の凍結、異常気象あるいは非対象条件下など、サンプル採取のオフシーズンに長期保管を使用することがあります。
このブログでは、多項目水質計EXOとセンサーの保管に関する方法を説明しますが、必ずユーザーマニュアルを参照して適切な保管方法を確認してください。
短期保管
類似する全ての YSIセンサーは、次の短期保管方法を使用して保管できます。
短期保管する場合:
- 各センサーを本体に装着したままにする。
- 校正/保存カップに少量の水道水(約50 mL程度)を入れるか、清潔で水を含ませたスポンジを使用してください。
- 蓋を締めてカップ内のセンサーを密封し、湿った状況下でセンサーが乾燥するのを防ぎます。

使用する水は水道水、ボトル飲料水、あるいは緊急の場合は現場の水でも構いません。現場の水を使用する場合は、センサーの藻の発生を防ぐため、可能な限り水道水に交換してください。
イオン水(標準液)をセンサーの保管に使用するのは理想的ではありません。特にpH、ORP、イオン選択電極(ISE)にダメージを与える可能性があります。直立させて保管すればセンサーは水と接触しませんが、機器を横倒しにしたりケースに入れて輸送したりすると、イオン水(標準液)がセンサーの先端に接触し、pH/ORPセンサーやISEセンサーから内部液が浸出する可能性があります。同様に水道水であっても、センサーを水に浸す状況は理想的ではありません。時間の経過とともにセンサー内部液が流出し、ドリフトを引き起こしたりセンサーの耐用年数を短縮する可能性があるためです。
校正/保存カップが完全に閉まっていることを確認して、センサーを完全に密閉し、センサーの先端(特に溶存酸素、pH、ISE)が乾燥するのを防ぎます。
その後、輸送用ケースや棚に保管して保護します。機器、付属品、ケーブルは、カビの発生を防ぐため、ケースや棚に入れる前に必ず乾燥させてください。完全に乾いていない場合は、ケースを開けたままにして、機器を風通し良くさせてください。

4 週間近く保管する場合は、校正/保存カップが完全に密閉されている場合でも水分が保たれていることを確認するために、数回チェックする必要があります。
DOセンサーが乾燥してしまった場合は、水道水に一晩浸して膜または光学式DOキャップを水分補給してください。通常はこれで使用できますが、異変や違和感があった場合は交換が必要になる場合があります。
pHセンサーまたはpH/ORPセンサーが短期保管中に乾燥してしまった場合は、pH 4標準液で再水和することができます。ISEセンサー類は標準液で再水和することができます。センサーの校正に問題がある場合や、データ(mVなど)が異常値な場合は、センサーまたはセンサーチップの交換が必要になります。
多項目水質計(EXO、ProDSSなど)は、pH 4の標準液にすべてのセンサーを浸した状態で保管することもできます。この方法ではDOセンサーを含むセンサーに損傷を与えることはありませんが、DOメンブレンキャップが変色する場合があります。
ProSwapやPro30のような、導電率、温度、濁度、シアノバクテリア、クロロフィルa、溶存有機物などといった光学センサーのみを測定する機器をお持ちの場合は 、乾燥した状態で保管できます。センサーの先端をカバーして測定部を保護して下さい。
短期保管のポイント:
- 「短期」とは4週間未満を指します
- センサーを装着しておく
- 少量の水道水などを使用する
- センサーの乾燥を防ぐために校正/保存カップで密閉してください
- pH/ORP、ISE、DO は湿った状態に保つ必要があります。
- C/T および光学センサー類は乾燥した状態で保管できます (光学式 DO は乾燥では保存できません)
- 保管する前に水質計外観などを乾かしてください
機器とセンサーの保管に関する詳しい情報が必要な場合は、それぞれの取扱説明書をご覧ください。なお、関連動画およびウェブページの内容は英語のみで提供されています。
長期保管
一般的に多項目水質計を長期保管する場合は、長期放置される可能性があるため、必ず乾電池を取り外してください。アルカリ電池は時間の経過とともに液漏れし、内部を腐食させる可能性があります。機器にリチウムイオン電池を装着している場合は、電池を装着したままでも問題ありませんが出来る限り外して保管を推奨します。

電池を取り外したら、電池ケースの掃除し、糸くずの出ない布などで拭き掃除して完全に乾いていることを確認してください。金属端子に腐食がある場合は、掃除して磨いてください。重曹は電池の酸を中和し除去することができます。
長期間使用しない場合は、機器をメンテナンスに出すことをご検討ください。機器の長期的な維持管理が容易になります。高品質なデータを収集し続けるために少なくとも2年に一度はメンテナンスを受けることを推奨します。
多項目水質計は、掃除、点検を行うことで長期保管が可能できます。すべての水質計とセンサーは、空調管理された屋内に保管してください。各センサーをバルクヘッドから取り外した場合は、バルクヘッドポートをポートプラグで塞いでください。以下の各センサーの長期保管手順にご注意ください。
pH/ORP
- 1M塩化カリウム(KCl)またはpH 4標準液に浸す
アンモニウム、塩化物、硝酸塩ISE
- 各センサーを湿った状態に保つために標準液を使用して乾燥を防ぐため、センサーの先端を輸送用ボトルにて密封します。
- 使用前に、一晩標準液に浸して再活性化してください。
- 少量の標準液にて輸送ボトルを密封して湿った空気環境を作り直立させて保管してください。
測定等と同様に近い状況で保管してください。センサーの測定部が溶液に漬からない状態になり問題ありません。
ISE の使用可能期間は通常約 3 ~ 6 か月であるため、使用する前に動作確認をおこないセンサーまたはセンサー チップを交換する必要がある場合があります。

ポーラログラフ法とガルバニック法のDO
- 乾燥した場所に保管
センサーを再度使用する場合、新しいメンブレン キャップを取り付ける必要がある可能性があります。なお、関連動画およびウェブページの内容は英語のみで提供されています。
光学DO
- 湿気の多い環境で保管してください。輸送用キャップを湿らせたスポンジまたは少量の水を入れた容器にセンサーを浸してください。容器は密閉し、水分が無くなるのを防いでください。
- あるいは水道水に浸して保管してください。

導電率/温度
- 乾燥した場所に保管
- 濡れた状態でも問題なく保管可能
光学センサー(濁度、藻類(クロロフィルaおよびフィコシアニン/フィコエリトリン)、fDOM、NitraLED(UV硝酸塩)、ローダミン)
- 乾燥した場所に保管
- 濡れた状態でも問題なく保管可能
- 配送キャップで覆ってセンサー測定部を傷から保護します

深さ
- トランスデューサーポート内のカビの発生を防ぐため、乾燥した場所に保管してください。

長期保管のポイント:
- 「長期」とは4週間以上を指します。
- 乾電池と各センサーを取り外す。
- 汚れ、ゴミ、付着物をきれいに拭き取り、機器の外側を乾燥させます。
- 保管前に点検と修理を行ってください。
- 必要に応じてメーカーメンテナンス実施のため送ってください。
- Oリングと各コネクタ部を清掃してグリスを塗って潤滑する。
- ODOとpH/ORPは湿った状態で保管してください。
- その他のセンサーは乾燥した状態で保管できます(取り付けまたは取り外しでも可能)。
- 各センサー測定部とコネクタ部を保護するために保管キャップを使用する。
- 水質計本体の空いているセンサーポートにポートプラグを取り付ける。
- 各機器は温度管理された環境で保管する。
機器とセンサーの最適な保管方法に関する詳細は、オンデマンドウェビナー「Storing for the Season(季節に応じた保管)」をご覧ください。なお、関連動画およびウェブページの内容は英語のみで提供されています。