Ultrapure:マイクロエレクトロニクス向けホウ素除去
効率的なホウ素除去技術を通して高品質な超純水を実現
マイクロエレクトロニクス向けの製品需要が増加し続ける中、半導体メーカーを含むマイクロエレクトロニクス産業は、進化を遂げながら新たな課題に直面しています。その一つが、製造プロセス全体における安定した超純水(UPW)の確保です。本ブログでは、XylemのプロダクトマネジメントディレクターであるPatrick Buzzellが、ホウ素除去の重要性とEvoquaの先進的なソリューションについて解説します。
2023年第1四半期の世界半導体売上高は1,195億ドルにまで達し、今後も成長が期待されています。[1] パンデミック後、メーカー各社はローカルサプライチェーンを構築し、パフォーマンスの最大化、新たなチップアーキテクチャの開発、生産効率向上に取り組んでいます。
生産効率を高める取り組みの一環として注目されているのが、製品不良率の最小化です。特に、既知の汚染物質であるホウ素に対する関心が高まっています。ホウ素は弱い電荷を持つため除去が難しく、製造に用いる超純水(UPW)中に過剰なホウ素が含まれると、最終製品の不良や厳格な仕様基準の未達につながります。そのため、業界ではppt(1兆分の1)レベルという非常に厳しいホウ素除去基準を設けています。この厳しい基準を満たすため、電気脱イオン化装置(EDI)は従来の混床イオン交換(MBDI)方式と比べて数多くの利点を持ち、UPW製造で主流技術となっています。
ホウ素除去をリードする技術
Xylemの最先端製品であるIonpure® VNX-Ultraは、マイクロエレクトロニクス産業向けに開発・最適化された高性能連続電気脱イオン化(CEDI)システムです。MBDIシステムとは異なり、CEDIは安定した水質と連続的な供給を通して、効率的な運転を可能にします。Ionpure® VNX-Ultraは、ホウ素・シリカの除去率が99.8%以上、ナトリウム・塩化物は99.9%以上と、業界トップクラスの性能を発揮します。現在のIonpureモジュールの中でも最も高い性能を持ち、ホウ素選択性樹脂なし、単一システム構成でpptレベルのホウ素除去を可能にします。
製造においては、コストと投資回収期間(ROI)が重要です。Ionpure VNX-Ultraは、従来のMBDIソリューションに比べて運用コスト(OPEX)を大幅に削減しつつ、1〜2年での投資回収を達成した事例があります。これはメンテナンス負担の軽減と薬品使用量削減によるコスト削減効果が大きく寄与しています。半導体製造向けメイクアップシステムでは7年以上にわたり洗浄せずに稼働した実績もあり、Ionpure® VNX-Ultraは最小限の点検・サービスで輸送やエネルギー消費も抑えられ、より環境負荷の少ない持続可能な運用が可能となります。
特筆すべきは、CEDI技術によって有害化学物質の取扱いや保管が不要になり、安全性が大幅に向上する点です。従来のMBDI方式では薬品による樹脂再生のために危険な薬品を扱う必要があり、作業者の生命や健康に重大なリスクを伴います。製造現場で安全性が最優先される中、危険物の取り扱いを削減し、作業者との接触を最小化することはESGの視点からみた労働安全衛生において非常に重要な要素です。
持続可能な未来へ
生産拡大や需要増加への対応、将来への備えを進める中で、Ionpure® VNX-Ultraは従来のMBDI方式に代わる、低メンテナンス・安全・持続可能な選択肢を提供します。先進のCEDIシステムを活用することで、超純水製造プロセスを最適化し、ホウ素除去という課題に的確に対応し、安定した高品質な製品づくりを実現します。
[1] https://www.semiconductors.org/global-semiconductor-sales-decrease-8-7-in-first-quarter-march-sales-tick-up-month-to-month-for-first-time-since-may-2022/