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ワクチンや機密性の高い医薬品のための正しいデータロガーの使い方

著者: 大田 智仁 (Tomohito Ota)

Ebro Life Sciences, Pharma & Biopharma Temperature Monitoring & Control Systems Covid Analytics Japan Blog

Japan Blog: ワクチンや機密性の高い医薬品のための正しいデータロガーの使い方

COVID-19コロナウィルス感染拡大の終わりの先には、流通に関する課題があります。また、各ワクチン接種には、温度管理の必要性や流通の問題など、独自の管理上の課題があります。ワクチンの輸送中の温度変化を監視するためのデジタルデータレコーダーの使用は、ワクチンの有効性を保証するために不可欠です。ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ、またはその他の機密性の高い医薬品を扱っているかどうかにかかわらず、温度を追跡するための高精度のデータロガーが必要になります。
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コロナの感染拡大が続く中、これらの問題に対処するためのいくつかの重要なヒントを提供したいと思います。
免疫分野での発見の数が増えるにつれ、信頼性が高くコンプライアンスに準拠した冷凍輸送中の監視が、効果的なワクチン輸送の鍵となります。

冷凍輸送には、専門の宅配便、適切な梱包、信頼性の高いロジスティックシステムなど、最適な制御と監視が必要とされる重要な要件があります。

ワクチンが入った箱が密閉され、ドアが閉まっているとき、ワクチンの完全性と有効性がどのように扱われているかを考えてください。コンテナ内でどのような変化が起こり、どのような環境変化に直面しているかは誰にもわかりません。これが、温度データロガーがワクチンの輸送および保管プロセスで不可欠な役割を果たす大きな理由です。

ここでは、冷凍輸送のモニタリングに最適なデータロガーを選択するための有用な情報を提供します。

輸送に求められる必要条件:
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データロガーを選択する際に考慮すべき5つの重要な詳細

1. 工程管理が必要な温度範囲
2. ロガーの設置箇所
3. 測定したデータを読み出す場所、担当部門
4. 校正証明書は付いているか?ロガーの再校正をする方法は?
5. FDA 21 CFRパート11に準拠しているか?

1. 温度範囲と精度

データロガーを選択する際に最初に考慮すべきことは、温度範囲と精度です。取り扱う医薬品の温度範囲を決定します。たとえば、BioNtech/ ファイザーのワクチンは、超低温冷凍庫-80℃~ -60℃で保管する必要があります。
超低温冷凍庫(ULT)を使用している場合は、その温度を調整するための適切なデータロガーが必要です。しかし、最近、米国とEU の規制当局によって代替の解決策が発表されました。現在、ワクチン は-25℃~25℃の冷凍庫に保管できます。-15℃で最大2週間。 [1]

ワクチンが保存される合計時間は、常にトラッキングする必要があり、2 週間を超えてはいけません。モデルナワクチンは、-50℃から-15℃の冷凍庫に保管されます。また、バイアルに穴を開ける前であれば、最大30 日間、2℃~8℃の冷蔵庫に保管することもできます。ジョンソン・エンド・ジョンソンとアストラゼネカのワクチンは、これまでのところ輸送が最も簡単です。+ 2℃~+ 8℃の間で最大6か月間保管することができます[2]、[3] すなわち通常の冷蔵温度となります。そして、必要な温度範囲に基づいたデータロガーを選ぶことが重要です。

もう1つの重要なポイントは精度です。保管状態をモニタリングするために、温度の影響を受けやすい製品の場合、最大±0.5度の精度のデータロガーが求められます。データロガーを選択する際は、必要な仕様を探し、不要な機能に多額の費用をかけないように注意してください。

2.データロガーの配置

理想的な保管温度を確保するために、通常、カートンまたはコンテナごとに2つのデータロガーが使用されます。1つはワクチンのすぐ隣に配置し、もう1つは容器の外側に配置する必要があります。ボックス内に配置するロガーは、ワクチンストックの中央に配置する必要があります。凍結のリスクを最小限に抑えるために、ワクチンストックと温度センサ ーがアイスパックと直接接触していないことを確認してください。ebi-box-310.jpg

ボックスの外側にあるもう一つのデータロガーは、保管環境の温度をモニタリングするために、目に見える場所に配置する必要があります。ロガーは、製品が梱包されるとすぐに作動し、目的地に到着するまで測定を継続する必要があります。

容器内の内部温度を測定するには、容器内の超低温(-70°Cなど)の影響で、電子機器が凍結する可能性があるため、延長ケーブル付きのロガーを選択する必要がある場合があります。

モデルナやアストラゼネカなどのワクチンの場合、USBタイプのデータロガーを使用することをお勧めします。USBタイプは小さくて薄いため、ワクチンの横に簡単に配置することができます。現在、ebro社には内部温度と外部温度の両方を同時に1つのロガーで測定することができるマルチ チャネルロガーがあります。


ワクチンの梱包と輸送の準備方法 
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3. データの読み取り

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考慮すべきもう1つの重要なポイントは、「誰が」ロガーデータを「どのように」読み取るかということです。受け手は同じ国になりますか?

データロガーによっては、特定の読み出しインターフェースを必要とし、また他のデータロガーでは、USBのようなどこでも使用できるインターフェースで動作する物もあります。
受け手が遠方の場合や国際輸送など目的地が遠方の場合、返送と管理を考慮すると、モニタリングに多大な労力がかかる可能性があります。
したがって、場合によって使い捨てデータロガーは理想的で費用効果の高いソリューションになります。Bluetooth、Wifi、5Gなどを介してデータを読み取ることができる多くの新しいテクノロジーがありますが、データが広範になり、漏洩のリスクがないことを確認する必要があります。
どのようなテクノロジーを選択する場合でも、ソフトウェアは使いやすく、PDFレポートを自動的に生成できるものでなければいけません。

4. 再校正および校正証明書

WHO(世界保健機関)では、1~2年ごとに、温度モニタリング機器とセンサープローブを校正することを推奨しています。適切なキャリブレーションレポートは、国際的に認められたキャリブレーションとトレーサビリティの基準に従って機器をテストすることにより、データロガーの精度を証明します。校正証明書を持つデータロガーを購入してください。すべての温度モニタリング測定器は、使用回数が増えるにつれて精度が低下するため、校正期限前に再校正の計画をしてください。代替案としては、使い捨てデータロガーを使用することです。

また、その他には、センサー交換が可能なデータロガーを使用することです。こういった製品には、1台1台に対応したシリアル番号を持つ使い捨てプラグインセンサーもあります。交換センサーを持つこのタイプのデータロガーは、通常、校正証明書と一緒に提供されます。

5. FDA 21 CFR Part 11への準拠

データロガーには様々なブランドがあるため、メーカーは色々な種類のデータ取得および解析ソフトウェアセットを使用する場合があります。ですが、データロガーを選択するための最も重要な基準の1つは、それがFDA 21 CFR Part11に準拠しているかどうかです。
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「FDA21CFR Part 11」とは?

FDA 21 CFRの具体的な焦点は、パート11です。これには、電子記録と電子署名に関する規則が含まれます。 商品のモニタリングにデジタルデータを採用している企業、特に製薬、食品、ヘルスケア部門の企業にとって、21 CFR Part11への準拠を確保することは不可欠です。21 CFR Part 11の規則では、システムにエントリーする際に、ユーザーごとに対応したそれぞれのログインとパスワードで管理する必要があります。

また、安全なコンピューターで生成された、タイムスタンプ付きの監査証跡を使用して、電子記録を作成、変更、または削除するオペレーターの入力とアクセスした時の日付と時刻を個別に記録することにも言及しています。関連分野のデータのセキュリティや監査ログを保証できる 21 CFR Part 11に準拠したソフトウェアを持つデータロガーを選択してください。

上記の5つのポイントが、皆様の適切なデータロガー選びのお役に立てば幸いです。また、データロガーやモニタリング計画のサポートが必要な場合は、遠慮なくお問い合わせください。冷凍輸送のプロセスとセットアップについても喜んでご紹介致します。

ebro EBI 300 USB 温度ロガーについて詳しくはこちら

参考文献

[1] U.S. Food & Drug Administration, “Coronavirus (COVID-19) Update: FDA Allows More Flexible Storage, Transportation Conditions for Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine”, https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/coronavirus-covid-19-update-fda-allows-more-flexible-storage-transportation-conditions-pfizer, 2021

[2] CDC., “Quick Reference Guide for Healthcare Professionals”, https://www.cdc.gov/vaccines/covid-19/downloads/covid19-vaccine-quick-reference-guide-2pages.pdf, 2021

[3] AstraZeneca, “AstraZeneca COVID-19 Vaccine (AZD1222)”, https://www.cdc.gov/vaccines/acip/meetings/downloads/slides-2021-01/02-COVID-Villafana.pdf, 2021